チャリンコ族はいそがない #
ポイントがたまっていることに気づいたので購入(っていうのか?)してみた。2年くらいかけてチャリンコで日本縦断した女性のエッセイ。
日本一周系の本は地域の人のふれあいのくだりが多いのだが、そんなたくさんのエピソードの中で、海を守るために開発と戦う地元の人の話があった。「当事者でないと語れない何か」というようなことをよく考える自分としては、その部分はかなり興味深く読ませてもらった。
そういう話題にふれた話は「○○の方が正しい」という意見とか中庸的なよくわからない意見とかに終始するのをよく読むが、この本では、地域の人に寄りながらも「当事者が語ることの重要性」や「当事者になろうとする自分」が描かれていると思う。
少し昔話をしよう。昔酒の席で友人とケンカになった事があった。彼がいうには「在日の女とは結婚できない」と(正確にはそんな話ではなかったけど)。その意見に腹がたったわけではない。子供の頃からそう育てられれば、そういう意見をもつことはあるだろう。それよりも「当事者でない人間が簡単に語ることの危うさ」に腹がたった。友人だから腹がたった。
もう 10 年も前の話だが、その頃と意見が変わらない自分、その頃と同じく踏み込まない限り意見を口に出せない自分。そんな自分ともうちっとまじめに向き合ってみようかな、と。
タイトルがいいよな、と思っただけだったんだが、何か大切なことを再認識したような本であった。